2006年09月21日

真実性の原則の意義

「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するのものでなければならない。」
企業会計原則の第一原則は、「真実性の原則」と呼ばれています。

企業会計は、企業の経済活動の記録・測定・伝達を意味します。
その伝達手段として用いられるのが、損益計算書や貸借対照表等の財務諸表です。
財政状態(資産、負債、資本の状況)を示すのが貸借対照表であり、経営成績(費用、収益の状況)を示すのが損益計算書です。
これらの財務諸表を適正に作成、開示することにより、「真実性の原則」にいう真実な報告を提供することができます。
財務諸表は、簿記的な記録を基礎に作成される訳ですから、「真実性の原則」は、簿記的な処理をも含めた会計全般に関する原則(包括原則)といえるでしょう。

「真実性の原則」は、必ずしも具体的な内容を規定している訳ではありません。
他の一般原則や損益計算書原則、貸借対照表原則に従うことによって、「真実性の原則」にいう真実な報告を行うことができます。
「真実性の原則」は、七つある一般原則の中でも一番位の高い原則(最高規範)であるといえるでしょう。

(まとめ)
「真実性の原則」は、企業の財政状態及び経営成績に関する真実な報告を要求する包括原則であり、他の会計原則を守ることにより、真実な会計報告を行うことができる。
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2006年09月23日

真実性の意味

企業会計は、企業の活動結果の財務諸表による報告を意味しますが、その報告の真実性を求めたのが「真実性の原則」です。
真実性の原則にいう真実とは、たった一つの真実(絶対的真実性)を意味しているのではなく、「相対的真実性」を意味しています。

企業会計上認められている会計処理の方法等は、一つとは限りません。
減価償却を例にとれば、定額法、定率法等の複数の方法が認められています。
いずれの方法を採用するかにより、結果としての財務諸表の数値も異なってきます。
また、具体的な償却計算についても耐用年数や残存価額の算定には確定値だけでなく、見積もりが不可欠です。
したがって、経営者や会計担当者が異なることにより財務諸表の数値は異なってきます。
そのため真実性の原則にいう真実性もたった一つの絶対的なもの(絶対的真実性)ではなく、「相対的真実性」であるといわれています。

(まとめ)
真実性の原則にいう真実は、たった一つの絶対的な真実ではなく、相対的な真実を意味している。
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2006年09月26日

正規の簿記の原則の意義

「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」
一般原則の第二原則は、「正規の簿記の原則」と呼ばれています。
ただ、「正規の簿記の原則」と呼ばれる文章の中に「正規の簿記の原則」という言葉が入っていますので、この文章そのものは「正規の簿記の原則」ではなく、「正規の簿記の原則」の原則というべきかもしれません。

「正規の簿記の原則」は、正確な会計帳簿の作成を要請する原則です。
正確な会計帳簿の作成が要求されるのは、その成果としての貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を正しく作成するためといえるでしょう。
「正規の簿記の原則」は、帳簿記録に基づく財務諸表の作成(「誘導法」)を要請しているといえるでしょう。

(まとめ)
「正規の簿記の原則」は、正確な会計帳簿の作成を要請する原則であり、「誘導法」による財務諸表の作成が求められる。
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2006年09月27日

正規の簿記の要件

「正規の簿記の原則」は、正確な会計帳簿の作成を要請する原則です。
「正規の簿記の原則」にいう「正規の簿記」であるためには、次の3要件が必要です。
(1)網羅性……すべての取引を記録すること。
(2)秩序性……秩序立った一定のルールに基づいて記録すること。
(3)立証性……事後に検証可能な資料に基づいて記録すること。

「正規の簿記の原則」の文章に「すべての取引につき」とあるように、網羅性が正規の簿記の要件として必要ということは頷けます。
これは記録して、これは記録しないなどと、記録すべき取引を選ぶ(一部を記録しない)ことがあってはなりません。
そのような記録が、経営者や経理担当者の単なる記憶や憶測によってなされても困ったものです。
その意味で、立証性(証憑準拠性、検証性とも呼ばれます)も必要でしょう。
やや、わかりにくいのが秩序性ですが、複式簿記は、正規の簿記の要件である秩序性を満たすにふさわしい簿記であるといえます。

(まとめ)
正規の簿記の原則にいう正規の簿記であるためには、網羅性、秩序性、立証性の3要件を満たす必要がある。
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2006年09月30日

資本と利益の区別の原則の意義

「資本取引と損益取引とを明確に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」
一般原則の第三原則は、「資本と利益の区別の原則」(資本取引・損益取引区別の原則、剰余金区別の原則)です。

「資本と利益の区別の原則」は、「もとで」としての資本と「もうけ」としての利益の明確な区別を要求する原則です。
企業は出資者から受け入れた資金(「もとで」)をもとに活動を行い、「もうけ」を獲得することを目指しています。
この「もとで」と「もうけ」を明確に区別することは、とても重要です。
同じく純資産(例えば現金)が増えたといっても、出資者から資金を受入れたのと利益があがったのでは、状況は全く異なります。
出資者から受入れた「もとで」(の追加)を「もうけ」としたのでは、正しい財政状態や経営成績を示すことはできません。

「資本と利益の区別の原則」の前段では、取引に着目して、資本取引と損益取引を明確に区別することを要求しています。
後段では、取引の結果に生ずる剰余金に着目して資本剰余金と利益剰余金を混同してはならないことが指摘されています。

(まとめ)
「資本と利益の区別の原則」は、「もとで」としての資本と「もうけ」としての利益の明確な区別を要求する原則である。
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2006年10月02日

資本取引と損益取引

「資本と利益の区別の原則」は、その前段で、「資本取引」と「損益取引」の区別を要求しています。

「資本取引」とは、資本主(株主)からの直接的な資本の拠出取引及びその増減取引をいいます。
典型的には、会社設立時の資本金の受入取引やその後の増資・減資取引が「資本取引」に該当します。
もっとも、会計を誰の立場によって行うかの見方(「会計主体論」)によっては、「資本取引」の範囲も異なることになります。

「損益取引」とは、資本取引以外の取引から生じた純資産の増減取引をいいます。
企業は資本主から資本を受入れ、これを運用して利益を獲得することを目指しています。
この利益の獲得過程における純資産の増減取引である費用収益の発生取引が「損益取引」です。
「資本取引」と「損益取引」を混同すれば、企業の正しい財政状態や経営成績を示すことはできません。

(まとめ)
「資本取引」とは、資本主からの直接的な資本の拠出及びその増減取引をいい、「損益取引」とは、資本取引以外の経営活動による間接的な純資産の増減取引をいう。
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2006年10月05日

資本剰余金と利益剰余金

「資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額であるから、両者が混同されると、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。従って、例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。」

「資本と利益の区別の原則」の後段では、「資本剰余金」と「利益剰余金」が区別されなければならないことが述べられています。
ここに「資本剰余金」とは、「資本取引」から生じた剰余金をいい、「利益剰余金」とは、「損益取引」から生じた剰余金をいいます。
「資本剰余金」と「利益剰余金」の区別は重要ですが、特に「資本剰余金」を「利益剰余金」と混同することへの戒めの意味が強いといってよいでしょう。
「資本剰余金」を「利益剰余金」とし、配当をなすことによる財産の社外流出は、特に会社法会計で重視されている保護の対象者である債権者を害する結果につながります。

(まとめ)
「資本剰余金」は、「資本取引」から生じた剰余金であり、「利益剰余金」は「損益取引」から生じた剰余金であり両者を混同してはならない。
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2006年10月30日

明瞭性の原則

「企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。」
一般原則の第四原則は、「明瞭性の原則」です。

企業会計では、企業の財政状態及び経営成績に関する情報を利害関係者に対して財務諸表という手段を用いて報告します。
いかに会計処理が正しく行われていても、財務諸表の表示が不明瞭であれば、利害関係者に対して、企業の財政状態や経営成績に関する情報が正しく伝わらない可能性があります。
利害関係者に対する情報伝達を適切に行うために財務諸表の明瞭表示を求めたのが、「明瞭性の原則」です。
その意味で「明瞭性の原則」は、適正表示の原則等とも呼ばれます。

利害関係者の判断を誤らせないためには、財務諸表を適正な様式(区分、配列等)で作成し、その内訳明細(附属明細書)も作成する必要があるでしょう。
また、どのような会計処理等を行ったのか(「会計方針」)、決算日後に重要な事実は生じていないか(「後発事象」)等の情報も開示する必要があります。

(まとめ)
「明瞭性の原則」は、財務諸表の明瞭表示を求めた原則で、その手段として、財務諸表の適正な作成や附属明細書の作成の他に、「会計方針」や「後発事象」の開示も要求される。
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2006年11月05日

会計方針の意義

「会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。」

企業会計は、企業活動の記録・測定・報告です。
その方針が、「会計方針」です。
記録と測定を「処理」とまとめるなら、会計処理と報告の方針が「会計方針」といえるでしょう。
財務会計では、報告は、財務諸表の開示という手段をとりますので、会計方針は、会計処理と表示の方針と短くはいえるでしょう。
企業会計原則では、会計方針として、(1)会計処理の原則、(2)会計処理の手続、(3)表示の原則があげられています。

やや具体的に見ておきますと、例えば、棚卸資産の評価は、原価基準によるのが原則ですが、低価基準によることも認められています(低価基準への一本化が予定されていますが)。
さらに細かくみていくと、同様に原価基準といっても、先入先出法をとるのか、平均法をとるのかでも、財務諸表の数値は異なってきます。
このためどのような会計処理の原則(原価基準か、低価基準か)や会計処理の手続(先入先出法か、平均法か)を採用したかを利害関係者に開示する必要があるのです。

(まとめ)
「会計方針」とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。
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2006年11月06日

会計方針の具体例

「会計方針」の例としては、次のようなものがあります。
(1)有価証券の評価基準及び評価方法
(2)たな卸資産の評価基準及び評価方法
(3)固定資産の減価償却方法
(4)繰延資産の処理方法
(5)外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準
(6)引当金の計上基準
(7)費用・収益の計上基準
なお、重要な会計方針は、注記をしなければなりませんが、代替的な会計基準が認められていない場合には、会計方針の注記を省略することができます。

(まとめ)
「会計方針」の具体例を完璧に覚えてください(→まとめじゃないか)。
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2006年11月15日

後発事象の意義

「財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。
後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。
重要な後発事象を開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。」

「後発事象」とは、文字どおり、「貸借対照表日」後に発生した事象です。
貸借対照表日とは、貸借対照表の作成の基準となる日、つまり期末をいいます。
貸借対照表日(期末)が、3月31日であれば、4月1日以後に発生した出来事が後発事象です。
貸借対照表日後に大きな災害や企業にとって不利益をもたらすような事件が発生した場合には、これらの情報を開示することは、有益でしょう。
後発事象のうち注記を要するのは、重要なものに限られますが、後発事象の開示は、将来の財政状態及び経営成績の理解に有用です。

(まとめ)
財務諸表には、財務諸表作成日までに発生した重要な後発事象(貸借対照表日後に発生した次期以後に影響を及ぼす事項)を注記しなければならない。
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2006年11月24日

後発事象の具体例

後発事象の具体例としては、次のようなものがあります。
(1)火災・出水等による重大な損害の発生
(2)多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
(3)会社の合併、重要な営業の譲渡又は譲受
(4)重要な係争事件の発生又は解決
(5)主要な取引先の倒産

(まとめ)
具体例(必ずしも一字一句である必要はありません)をおさえておきましょう。
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2006年11月29日

継続性の原則の意義

「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」
一般原則の第五原則が「継続性の原則」です。

企業会計では、一つの会計事実に対して、複数の会計処理の原則や手続が認められている場合が少なくありません。
このような場合には、毎期継続して同一の会計処理の原則や手続を適用する必要があります。
そうでなければ、財務諸表の期間比較の可能性を害し、また、利益操作の余地を残すことになります。
そのため、会計処理の原則及び手続の継続適用を要求するのが継続性の原則です。

(まとめ)
企業会計は、その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用しなければならない。
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2006年11月30日

継続性の原則の適用される場合

「継続性の原則」が問題となるのは、一つの会計事実について、複数の会計処理の原則及び手続が、認められている場合です。
「認められた処理の原則及び手続」から「認められた他の処理の原則及び手続」への変更の場合に、「継続性の原則」の適用が問題になります。
認められていない処理の原則及び手続から認められた処理の原則及び手続への変更は当然の変更であり、継続性の原則の適用が問題になる訳ではありません。
認められた処理の原則及び手続(○)と認められていない処理の原則及び手続(×)との間の変更の関係は、次のとおりです。

× → × ………ダメ
○ → × ………ダメ
× → ○ ………当然の変更
○ → ○ ………継続性の原則の話

(まとめ)
継続性の原則が適用されるのは、一つの会計事実について、複数の会計処理の原則及び手続が認められている場合である。
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2006年12月03日

継続性の原則の必要性

「継続性の原則」は、会計処理等の継続性を要請する原則ですが、会計処理の継続性が要請されるのは、次の二つの理由からです。

(1)財務諸表の期間比較の可能性の確保
企業会計原則は、注解3において、次のように述べています。
「企業が選択した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる。
従って、いったん採用した会計処理の原則又は手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各時期を通じて継続して適用しなければならない。 」

(2)利益操作の排除
企業会計原則においては、触れられていませんが、継続性の原則は、利益操作を排除する目的ももっています。
企業会計では、一つの会計事実に対して複数の会計処理方法が認められている場合が少なくありません。
会計処理方法の違いは、そのまま利益計算の違いとなってあらわれます。
例えば、減価償却の計算方法として定額法を採用するか、定率法を採用するかで企業利益の額は異なってきます。
このような会計処理方法を変更することによって経営者に利益を操作する余地を与えないことも継続性の原則の狙いとするところといってよいでしょう。

(まとめ)
継続性の原則には、財務諸表の期間比較の可能性を確保し、経営者による利益操作を排除する狙いがある。
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2006年12月04日

正当な理由

いったん採用した会計処理の原則及び手続は、毎期、継続して適用することが要求されます。
継続性の変更が認められる正当な理由による変更としては次のようなものがあげられます。
(1)法令等の改廃による変更
(2)より合理的な変更
(3)経済事情の著しい変化による変更
(4)合併、組織変更等の変化による変更
なお、正当な理由により、会計処理の原則や手続に変更を加えた場合には、注記によってその旨を示す必要があります。

(まとめ)
継続性の変更が認められる正当な理由には、(1)法令等の改廃により変更、(2)より合理的な変更、(3)経済事情の著しい変化による変更、(4)合併、組織変更等による変更などがあります。
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