2007年05月04日

会計基準の読み方(支配)

会計基準、読んでますか?

今回は、ちょっと趣向を変えて、いくつかの会計基準等で登場する言葉を考えてみました。

「支配」です。

私が税理士受験界を支配しているなどという具合に日常的に使………わんなこりゃ。

なかなか日常では、支配という言葉を使う機会がありませんので、イメージはわくでしょうか?



さて、会計基準では、どこで登場するでしょうか?

ちょっと考えてみてください。







一つ目は、概念フレームワークの資産概念です。

概念フレームワークにおける資産は、短くいうと「経済的資源」です。

ちょっと長くいうと、「報告主体(企業等)が支配している経済的資源」です。

ここに「支配」が登場します。

所有という法的な概念とは違って、経済的・実質的な意味合いが強いんでしょうか。

概念フレームワークでは、この支配を「所有権の有無にかかわらず、そこから生み出される便益を享受できる状態(注2)」と説明しています。

難しいですな。

ややラフにいえば、「自由にできる状態」といった感じでしょうか。

この「報告主体が支配している」という部分は、それほどたいした話ではありません。

概念フレームワークにおける資産等の定義は、報告主体(企業等)の財務諸表にのっける資産等についてのものです。

A社の貸借対照表にB社の資産をのっけるのはおかしいです。

このような意味での限定を加えるために、「報告主体が支配している」と入る訳です。

ここが「所有」という法的な概念とはちょっと違うというのがポイントでしょうか。



もう一つが、金融資産の消滅の認識です。

金融資産は、「契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき又は権利に対する支配が移転したとき(8項)」に消滅を認識します。

ここで支配が登場します。

A社の(金融)資産は、A社が支配している経済的資源です(概念フレームワークの「報告主体が支配している」を参照)。

その支配が移転(≒譲渡)すれば、A社の資産ではなくなります。

つまりは、消滅を認識することになる訳です。

資産の定義(概念フレームワーク)で登場する支配と金融資産の消滅の認識(金融商品会計基準)で登場する支配は、ニュアンスも含めて同じといってよいでしょう。



最後に、これは話だけということでかまいませんが、連結や企業結合で登場します。

連結財務諸表は、企業単体ではなく、企業集団(グループ)の状況を報告するための財務諸表です。

この場合の連結の対象となる企業集団は、ある会社(親会社)とその子会社です。

で、その親会社の定義が、「他の会社を支配している会社」です(連結原則第三 一 2)。

ここでは「もの等」ではなく、企業(会社)ですので、資産の定義や金融資産の消滅の認識の場合と全く同じという訳ではないでしょう。

しかし、基本的な考え方は同様です。

親会社が「自由にできる状態」にある会社(子会社)を含めたグループで財務報告を考えるのが連結財務諸表です。

ちなみに企業結合に係る会計基準(二2)にも登場します。


一つのキーワード的な言葉が違う所ででてくるときには、共通したイメージがあるとよいです。



そうだ、会計基準を読もう!!(支配のイメージがわきましたか?)
posted by 講師 at 21:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 会計基準の読み方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、
現在会計学について勉強しております。
管理人さんのご説明は、学校の先生より分かりやすいと思います。ありがとうございます。

ちなみこの「支配」についてのお話は、管理人さんのどちらの著書に記載しているか、教えていただけませんか。

よろしくお願いいたします。
Posted by sibasibazakura at 2011年01月11日 12:34
sibasibazakuraさん、はじめまして。
よろしくお願いします。

どうもありがとうございます。
残念ながら特にどの著書(簿記の初級のものしかありません)に書いてあるということはありませんです。
はい。
Posted by 暮木孝司 at 2011年01月12日 23:39
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