2006年10月02日

資本取引と損益取引

「資本と利益の区別の原則」は、その前段で、「資本取引」と「損益取引」の区別を要求しています。

「資本取引」とは、資本主(株主)からの直接的な資本の拠出取引及びその増減取引をいいます。
典型的には、会社設立時の資本金の受入取引やその後の増資・減資取引が「資本取引」に該当します。
もっとも、会計を誰の立場によって行うかの見方(「会計主体論」)によっては、「資本取引」の範囲も異なることになります。

「損益取引」とは、資本取引以外の取引から生じた純資産の増減取引をいいます。
企業は資本主から資本を受入れ、これを運用して利益を獲得することを目指しています。
この利益の獲得過程における純資産の増減取引である費用収益の発生取引が「損益取引」です。
「資本取引」と「損益取引」を混同すれば、企業の正しい財政状態や経営成績を示すことはできません。

(まとめ)
「資本取引」とは、資本主からの直接的な資本の拠出及びその増減取引をいい、「損益取引」とは、資本取引以外の経営活動による間接的な純資産の増減取引をいう。
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2006年10月05日

資本剰余金と利益剰余金

「資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額であるから、両者が混同されると、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。従って、例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。」

「資本と利益の区別の原則」の後段では、「資本剰余金」と「利益剰余金」が区別されなければならないことが述べられています。
ここに「資本剰余金」とは、「資本取引」から生じた剰余金をいい、「利益剰余金」とは、「損益取引」から生じた剰余金をいいます。
「資本剰余金」と「利益剰余金」の区別は重要ですが、特に「資本剰余金」を「利益剰余金」と混同することへの戒めの意味が強いといってよいでしょう。
「資本剰余金」を「利益剰余金」とし、配当をなすことによる財産の社外流出は、特に会社法会計で重視されている保護の対象者である債権者を害する結果につながります。

(まとめ)
「資本剰余金」は、「資本取引」から生じた剰余金であり、「利益剰余金」は「損益取引」から生じた剰余金であり両者を混同してはならない。
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2006年10月23日

財務諸表論 講義 問題5(資本と利益の区別の原則)

「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」
上記の文章は、企業会計原則の一般原則三の資本と利益の区別の原則です。
これに関連して下記の問に答えなさい。

問1
次に掲げる取引を資本と利益の区別の原則にいう(1)資本取引、(2)損益取引、(3)いずれにも該当しない取引に区別しなさい。
ア 現金による増資
イ 商品の掛けによる売上
ウ 借入金元本の返済 
エ 新株発行費用の支払い

問2
次に掲げる項目を(1)資本剰余金と(2)利益剰余金に区別しなさい。
なお、資本剰余金と利益剰余金との振替取引は一切行われていないものとして解答しなさい。
ア 株式払込剰余金
イ 利益準備金
ウ 自己株式処分差益
エ 資本金減少差益
オ 繰越利益剰余金

問3
次の利害関係者のうち資本剰余金を利益剰余金と混同することによる悪影響が大きくなると考えられるのはいずれですか。
ア 株主
イ 債権者

(解答)
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posted by 講師 at 21:30| Comment(3) | TrackBack(0) | 財務諸表論 基本問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月30日

明瞭性の原則

「企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。」
一般原則の第四原則は、「明瞭性の原則」です。

企業会計では、企業の財政状態及び経営成績に関する情報を利害関係者に対して財務諸表という手段を用いて報告します。
いかに会計処理が正しく行われていても、財務諸表の表示が不明瞭であれば、利害関係者に対して、企業の財政状態や経営成績に関する情報が正しく伝わらない可能性があります。
利害関係者に対する情報伝達を適切に行うために財務諸表の明瞭表示を求めたのが、「明瞭性の原則」です。
その意味で「明瞭性の原則」は、適正表示の原則等とも呼ばれます。

利害関係者の判断を誤らせないためには、財務諸表を適正な様式(区分、配列等)で作成し、その内訳明細(附属明細書)も作成する必要があるでしょう。
また、どのような会計処理等を行ったのか(「会計方針」)、決算日後に重要な事実は生じていないか(「後発事象」)等の情報も開示する必要があります。

(まとめ)
「明瞭性の原則」は、財務諸表の明瞭表示を求めた原則で、その手段として、財務諸表の適正な作成や附属明細書の作成の他に、「会計方針」や「後発事象」の開示も要求される。
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posted by 講師 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 一般原則 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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